大学の決算書なんて見たこと無い 全くわからん
結論、大学職員を目指すなら最低限の知識はつけておきましょう
大学職員に実際なってから大学の財務状況に気づくようですと手遅れ。
全て把握するのは無理ですが最低限の抑えるべきポイントを銀行員目線でまとめています。
大学の決算書にも一般企業と同じように3つの財務諸表があります
■一般企業
✓貸借対照表
✓損益計算書
✓キャッシュフロー計算書
■大学
✓貸借対照表
✓事業活動収支計算書
✓資金収支計算書
本記事は金融業界の方向けではありません(かなり端折って簡単に解説します)
少しざっくり簡単すぎるかもしれませんが、面接を受けるうえで知っておくべき知識だけを集めています。
貸借対照表
大学特有のバランスシートってどんなの
■貸借対照表(BS) 単位:百万円
本記事は2022年10月作成時に公開されている最新分を載せております
日本で一番大きな女子大と言われる武庫川女子大学の貸借対照表を例にあげます
私はもともと銀行員です
あらゆる大学の貸借対照表を見てきましたがほとんどの大学で固定資産と純資産が大半を占める上記のようなバランスシートがほとんど。
固定資産が多いのは、大学は広いキャンパスを賃貸でなく自己所有していることが多いためです。
これってすごいことなの?
盤石なバランスシートですごいです。
日本代表の企業トヨタの貸借対照表↓
大学のバランスシートと形が似ている
かなりざっくりですがこんなイメージでも良いでしょう。
ちなみにこの灰色の純資産がマイナスになれば債務超過と呼ばれ企業で言う会社が潰れる状態。
上場企業では灰色の部分が2年連続でマイナスになると強制的に上場廃止となる
(※別によく出てくる指数として運用資産余裕比率というものがあります。収入がゼロになってもどれぐらい耐えられるかわかる指数ですが大学の収入が急にゼロになることを考えづらいためここでは無視します)
つまり大学は灰色の部分が0以下にならないと潰れる心配ない
だからこそ斜陽産業でありながらまだまだ人気な先であり続けているのです
事業活動収支計算書≒損益計算書
ここでは関西のマンモス近畿大学を例にしてみましょう
✓学生生徒納付金は40%程度
✓医業収入も同じ40%以上ある
✓補助金が減ってきてるとはいえ10%ぐらいある
学生生徒納付金=学費ってことわかるけど、売上の40%ぐらいしかないの?
これがあえて近畿大学これにあげたミソです
近畿大学は学生がたくさんいて学費で稼いでるように思います。
しかし、実際は学費以上に大学病院や医学系の収益の方が多いんです。
これってどの大学もそうじゃないの?
医療収入の売り上げが上がってる大学は当然医学部や大学病院がある大学に限ります。
この辺で言うマーチや日東駒専といったくくりが、関西でもあり関関同立参勤交流と言われています(近畿大学は参勤交流の金)
つまり大学のPLである損益計算書を見ることで大学がないで稼いでるのか把握することができます。
大学職員として面接を通過するためにはまずその大学がどういった項目で収益を得ているかを頭に必ず入れておきましょう。
これさえ知らない人がたくさんいると思います。
つまりここから何がわかるかというと大学業界は人口減少や18歳人口の現象による車両産業と言われていますが近畿大学に学生は減ることは痛いですがそれ以上に高齢者である病院の利用者が減ることの方が痛いのです
こういったことは頭に入れながら面接で話を展開するのでは先行通過率が全く異なってきます。
分かったこれからは損益計算書を見るようにする
しかしここでよくある質問が・・・
大学と言っても医学部があれば収益構造が異なるのはわかったが、
それじゃあ●●医科大学ってじゃあどうなってるの?
ここでは近畿大学と並べるため同じく関西で話題性が絶えない医科大学関西医科大学も載せてみます。
医学収入86%もあるじゃん
そうなんですつまり関西医科大学は大学と書いてありますがほとんど病院です
つまり一般的な総合大学と比べると学生や人口が減ることによる学生納付金が減る影響はそこまで痛くないのです。
つまりこう言った●●医科大学からすると学生が減ることより病院のお客さん高齢者が減ることの方が困るわけです。
学生が減っても売り上げの5%ぐらいしか占めないもんね
医学部は授業料が高いで有名ですがそれでも収益の5%程度です
関西医科大学は順天堂大学のように学費を下げることで関西では地位を築きつつありますが学費を下げようとも元々5%程度の収益比率のためあまり痛くないのです。
学費を下げて優秀な生徒が集まってくるならコスパはいい
■近畿大学の貸借対照表
■関西医科大学の貸借対照表
✓●●医科大学であっても一般的な大学と形は同じ
✓固定資産と純資産がほとんどを占めている
資金収支計算書
活動区分資金収支計算書は一般企業で言うキャッシュフロー計算書。
大企業であれば必ず作成されていますが、中小企業では作成すらしておらずどんぶり勘定の会社も多い。
つまりなんなの?
年度により大きく収支がぶれない。それが大学の良さでもあるため、細かく見る必要はないと思います。
銀行員でもちゃんと理解している人は実は少ないくらい。
経常費等補助金
損益計算書のところで触れていませんでしたが、面接を受ける上で知っておくべき補助金について話しておきます。
先ほどの関西マンモスを近畿大学を例にあげます。
経常費等補助金はだいたい10%程度
なんで補助金が大切なの?
①補助金の額は年々下がってきている(大学収支を圧迫してきている)
②日本は私立大学であっても補助金が入っている(世界では国立だけ補助金がほとんど)
③補助金≒利益
これは面接を受ける上では必ず知っておくべきポイント
なぜなら大学職員の面接では普通にこういった問いが飛んできます
- 補助金をより獲得するためにはどうしたらいいと思う?
-
補助金そのものが減少傾向であり、受ける大学のPLに閉める補助員比率は10%程度なので~
といった回答をするだけで大学職員に本気でなりたいといった本気度を伝えられます。
- うちの大学が今後も生き残るにはどうしたらいいと思う?
-
これはあるある質問ですが、生き残るには収益を増やすか、支出を減らすのがセオリー。
支出削減は教育機関のため容易にできないと仮定すると、収益をいかに増やすか。
18歳人口減少が明らかであるなか、補助金というほぼほぼ利益となるお金は喉から手が出るほど欲しいのです。
つまり補助金に着目して自信の考えを述べることは面接官に刺さりやすい
最終面接辺りでは数字に強い理事(役員)が出てくる
そのでのウケは良い。
こういった大学特有の抱えている課題や構造を簡単に理解して面接に臨むことが大切です。
1億円は1億円でも深い
ちなみにぼくは、大学職員の面接を20回以上受け、内定を7つ獲得したノウハウが詰まっています。
大学職員は倍率が高いからこそ面接で対策不足がばれるとすぐ落ちます。たとえ優秀な人であろうとも。
大学職員を目指す方はコスパが良いと思いますので是非ご参考を。
最後に学校法人会計基準について
大学の会計は一般企業の会計とは大きく異なります。
これが大学法人会計基準です。
この辺はなかなか難しいので割愛してきましたが最低限のことだけ述べておきます。
お伝えしてきたように一般的に大学の収入源は学生が納める授業料です。
しかし一般的には寄付金や補助金や民間企業などの受託研究費など様々なお金を収入として得ることもあります。
また金融機関に運用を任せたんまりとあるお金を運用してインカムゲインやキャピタルゲインを得ている大学も珍しくありません。
また大学法人会計基準を見ていく上で「大学の将来性」についてよく聞かれます。
収益面の将来性(攻める方)は大学個別事情によるので分析は難しいのですが、どの程度耐える力があるのか耐久性について(守る方法)はよく分析が行われています。
日本私立学校振興・共済事業団は「定量的な経営判断指標に基づく経営状況の区分」という資料を公開しているぐらいです。
・教育活動資金収支差額が3年のうち2年以上赤字であるか否か
・外部負債と運用資産を比較し外部負債が超過していないか
全てを読み解くことは難しいですが数字だけ拾っていけば簡単に出すことができる指標もあります。
本気で細かく大学分析をしたい方はここまでしっかりと見ていくべきでしょう。
ちなみに僕は初めの数校はここまで見ていましたが、入職しないとわからない点が多すぎて諦めました…
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